刑法166条について、強制わいせつ罪が成立するにはわいせつ傾向が必要であるかという問題があり、従来の判例はこれを必要と解してきましたが、最大判平29・11・29刑集71巻9号467頁は、「わいせつな行為」に当たるかどうかの判断について行為者の主観的意図をも考慮要素とすべき場合があることは認めつつも、故意以外の行為者の性的意図を一律に強制わいせつ罪の成立要件とするのは相当ではないとし、従来の判例を変更しました。これにより、故意以外には行為者の性的意図がなくとも強制わいせつ罪が成立しうることになりました。従来は構成要件該当性の段階で成立が否定されていた、わいせつ目的のない医療行為などは、これからは、違法性の段階で刑法35条の正当行為に該当するかどうかにより強制わいせつ罪の成否が検討されることになるでしょう。
また、刑法177条について、従来は強姦罪とされていた罪が、刑法が改正されたことにより名前が強制性交等罪に変わり、客体も女性のみならず男性も含まれるようになりました。
痴漢については、強制わいせつ罪の成立によるもののみならず、各地方公共団体により制定されている条例に基づき刑罰が科せられることもあります。痴漢に限ったことではありませんが、もし自分が犯人であると疑われ現行犯逮捕をされそうになった場合には、犯行の明白性や現行犯逮捕の必要性などがあるかというように、実際に現行犯逮捕が認められるものであるかについては注意が必要でしょう。
痴漢・わいせつ事件
植平法律事務所が提供する基礎知識
-
慰謝料・損害賠償
交通事故に遭遇した被害者は、加害者に対して損害賠償や慰謝料請求をしていくこととなります。 慰謝料とは...
-
交通事故を弁護士に依頼するメリット
交通事故における損害賠償請求の手続きは、煩雑な事項が多く存在します。 例えば、後遺障害等級認定には、...
-
離婚とお金
「離婚」と「お金」という2つの問題は、切っても切れないほど表裏一体であり、それゆえに解決が難しいもので...
-
未払いの養育費を請求する方法
養育費とは、衣食住や教育費、医療費といった子どもの生活にかかる費用を指します。 民法の規定により、離婚...
-
遺言書作成
遺言書は、民法の定める方式にしたがって作成しないと、無効になってしまいます。そのため、遺言の作成にあた...
-
離婚後の氏と戸籍
離婚を目指すにあたって、財産やお子様の親権など、重大な問題が山積している状態ではありますが、忘れてはな...
-
相続の流れ
遺産相続の手続きには、法律上期限が定められたものも多く、必要な手続きを把握しておくことが重要です。相続...
-
高次脳機能障害
「交通事故の被害に遭ってから、どうにも物忘れがひどく、日常生活に支障をきたしている。示談をすすめている...
-
遷延性意識障害(植物状態)とは
■遷延性意識障害とは 遷延性意識障害(せんえいせいいしきしょうがい)とは、被害者が植物状態となってしま...