薬物に関する犯罪については、薬物の種類によって覚せい剤取締法などのように個別の法律があり、それらによって罰則なども規定されています。例えば、覚せい剤取締法41条の2第1項は、「覚せい剤を、みだりに、所持し、譲り渡し、又は譲り受けた者」について、罰則として10年以下の懲役を規定しています。
覚せい剤のような薬物犯罪については、密行性があることからおとり捜査がなされることがあります。判例は、「おとり捜査は,捜査機関又はその依頼を受けた捜査協力者が,その身分や意図を相手方に秘して犯罪を実行するように働き掛け,相手方がこれに応じて犯罪の実行に出たところで現行犯逮捕等により検挙するもの」としています(最決平16・7・12刑集58巻5号333頁)。このようなおとり捜査は基本的には任意捜査ということになりますが、犯罪の教唆・幇助のような性格があることから、それがすべて、捜査の「目的を達するために必要な」(刑事訴訟法197条1項本文)ものといえるというわけではなく、具体的な事案によって異なります。判例は、おとり捜査が適法と言えるかの判断基準として、「少なくとも,直接の被害者がいない薬物犯罪等の捜査において,通常の捜査方法のみでは当該犯罪の摘発が困難である場合に,機会があれば犯罪を行う意思があると疑われる者を対象におとり捜査を行うことは,刑訴法197条1項に基づく任意捜査として許容されるものと解すべき」としています(前掲最決平16・7・12)。
覚せい剤・麻薬・薬物
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