暴行事件

　暴行罪は刑法208条に規定があり、法定刑は、二年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料と規定されています。

　刑法上暴行といっても、意義についてはどの罪に関する規定におけるものかによって異なりますが、刑法208条に規定のある暴行罪においては、「暴行」とは、人の身体に対する不法な有形力の行使一切を言うとされています。例えば、女性の毛髪を切断・剃去する行為に暴行罪の成立を認めた判例があります(大判明45・6・20刑録18輯896頁)。

　また、その有形力が人の身体に接触する必要があるかについては、刑法208条が「人を傷害するに至らなかったとき」と規定していることから、一般的に暴行罪は傷害罪の未遂をも含むものと解され、従って、「暴行」に当たるために、傷害の危険がある場合には必ずしも人の身体に接触する必要はないと解されています。例えば、塩を振りかける行為について暴行罪の成立を認めた裁判例もあります(福岡高判昭和46年10月11日刑月3巻10号1311頁)。
　

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